うつ病とは

うつ病は、脳の働きに不調が生じ、気分や意欲が低下する医学的な病気です。単なる「気分の落ち込み」や「怠け」ではなく、脳の機能変化やストレス、体の病気など複数の要因が重なって起こります。日本では100人に約6人が経験するとされ、誰にでも起こりうる身近な病気です。 

原因

 うつ病は一つの原因で起こるわけではなく、複数の要因が重なって発症します。

1. 心理社会的ストレス

仕事・家庭・人間関係の悩み、喪失体験、環境の変化(転職・引越し・結婚など)などが引き金になります。

慢性的なストレスは脳の神経伝達に影響し、発症リスクを高めます。 

2. 脳の働きの変化

脳内のセロトニン・ノルアドレナリン・ドパミンなどの神経伝達物質のバランスが乱れることで、気分や意欲が低下します。 

3. 身体疾患・ホルモンバランス

甲状腺疾患、糖尿病、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群などの身体疾患が背景にある場合、うつ症状が現れやすくなります。女性では、月経前・産後・更年期などホルモン変化の時期に発症しやすいことが知られています。

症状

|心の症状|

☑気分の落ち込みが続く

☑何をしても楽しめない

☑集中力の低下、決断ができない

☑自分を責める気持ちが強くなる

☑不安・焦りが強い

☑死にたいほどつらい気持ちが出ることもある 

|体の症状|

☑不眠、過眠

☑食欲の変化(減る/増える)

☑疲れやすい、体が重い

☑頭痛・肩こり・動悸・胃の不快感などの身体症状 

|周囲から見えるサイン|

☑表情が暗い、反応が遅い

☑ミスが増える、遅刻・欠勤が増える

☑身だしなみが乱れる

☑飲酒量が増えるなどの変化 

治療法

うつ病の治療は、休養・薬物療法・精神療法・環境調整を組み合わせて行います。

1. 休養

まずは心身を休め、ストレスから距離を置くことが重要です。仕事や学校を休むことで症状が大きく改善することもあります。 

2. 薬物療法

脳内の神経伝達物質のバランスを整えるため、抗うつ薬を使用します。

主な薬剤には以下があります。

☑SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

☑SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

☑NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

効果が出るまでに2週間ほどかかることが多く相談しながら調整します。 

3. 精神療法

☑認知行動療法(CBT)

☑対人関係療法(IPT)

☑支持的精神療法  

考え方の偏りやストレスへの対処法を改善し、再発予防にも役立ちます。 

4. その他の治療(当院では受けられません)

☑高照度光療法

☑経頭蓋磁気刺激法(rTMS)

☑修正型電気けいれん療法(ECT)

症状や重症度に応じて選択されます。 

当院からのメッセージ

うつ病は、適切な治療で回復が十分に期待できる病気です。「自分が弱いから」と責める必要はありません。辛さが続くときは、どうぞ一人で抱え込まず、当院へご相談ください。