双極性障害とは

双極性障害は、気分が大きく変動する疾患で、「気分が高ぶる躁(そう)状態」と「気分が落ち込むうつ状態」を周期的に繰り返します。適切な治療により、多くの方が安定した生活を取り戻すことができます。

年間発症率は 0.1〜0.2%程度。20代前後に発症ピークがあり40代以降の初発も一定数あります。

 

|うつ病との比較|

うつ病の生涯罹患率:約6〜10%。

双極性障害はうつ病より少ないが、見逃されやすくうつ病として治療されているケースが多い→ 実際の罹患率は統計より高い可能性が指摘されていると報告があります。

原因

双極性障害の原因は一つではなく、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

1. 脳内の神経伝達物質のアンバランス

☑セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンなどの働きが乱れる

☑気分の調整機能が不安定になる

2. 遺伝的要因

☑家族に双極性障害の方がいる場合、発症リスクがやや高まる。ただし「遺伝だけで決まる病気」ではない

3. ストレス・生活リズムの乱れ

☑過労、睡眠不足、環境変化

☑大きなストレスが発症や再発の引き金になる

4. 身体疾患や薬剤の影響

甲状腺機能異常

一部の薬剤(ステロイドなど)が気分変動を誘発することがある

双極性障害の分類

1. 双極I型障害

☑明確な躁病エピソード(入院が必要な激しい躁)を経験

☑うつ病も高頻度

☑社会生活に大きな支障が出やすい

☑男性にやや多い傾向

☑躁状態が強いため、家族や職場で問題化しやすい

2. 双極II型障害

☑軽躁(ハイだが社会生活は保てる)+重いうつ病

☑うつ症状が主で、患者本人は「うつ病」と思って受診することが多い

☑女性にやや多い傾向

☑見逃されやすく、治療が遅れることがある

3. 気分循環性障害

☑軽い躁状態と軽いうつ状態が2年以上続く

☑症状は軽いが、慢性的で生活の質を下げる

☑「性格の問題」と誤解されやすい

症状

 |躁(そう)状態|

☑気分が異常に高揚する

☑睡眠が少なくても元気

☑話し続ける、アイデアが次々浮かぶ

☑衝動的な行動(浪費・トラブル)

☑周囲から「いつもと違う」と言われる

|うつ状態||

☑強い落ち込み、意欲低下

☑疲れやすい、集中できない

☑不眠または過眠

☑自責感が強くなる

☑痛みが悪化することも多い(慢性疼痛との関連)

治療法

双極性障害は治療により安定した生活が可能な疾患です。治療の中心は以下の3つです。

1. 薬物療法

☑気分安定薬(気分の波を抑える)

☑抗精神病薬(躁状態の改善)

☑抗うつ薬は慎重に使用(躁転のリスクがあるため)

 2. 心理社会的治療

☑認知行動療法(CBT)

☑家族教育

☑ストレスマネジメント

☑病気への理解を深め、再発予防につながる

3. 生活リズムの安定

☑睡眠・食事・活動のリズムを整える

☑過労を避ける

☑アルコール・刺激物の摂りすぎに注意

☑スマホ・夜更かしの調整

|まとめ|

双極性障害は「躁」と「うつ」を繰り返す疾患。原因は脳の働き・遺伝・ストレスなど複合的です。

治療法は薬物療法+心理社会的治療+生活リズムの安定。適切な治療で安定した生活が可能です。痛みとの関連も強く、ペインクリニックでも重要な疾患です。